全体の雰囲気を見る
車両からやや離れて、車体に映る周囲の景色を見てみよう。歪みや凹み、あるいは波打っているのを見つけることもある。車体表面の色艶などでも、修復の形跡がわかる。一部だけくすんでいたり艶が違って見えたら、修理したことも考えられる。また、細部にも目を向けよう。ナンバープレートの曲がり、左右のヘッドライトの色、バンパーと車体とのずれ、車体の切れ目の隙間など、見る角度を変えてみると異常を見つけやすい。「何となく変な感じ」がする部分があれば、近寄って念入りに観察しよう。見た目の雰囲気も、目利きチェックポイントだ。
ボンネットの交換には理由がある
事故などでボンネットにダメージを負うと、新しいボンネットと交換することも少なくない。ボンネットを支えている金具(ヒンジ)を固定しているネジを見て、脱着した形跡がある場合は要注意。事故の修理でボンネットを交換した可能性が高い。まれにエンジンの修理などでボンネットを外すこともあるが、その場合は整備記録簿に記録が残っているはずだ。
色と隙間を見る
事故などで前部に大きな衝撃を受けて車体が歪むと、外板パネルを修理することになるが、組み付ける際に誤差が出ることがある。それは、各パネル同士の隙間(チリ)を見ればわかりやすい。フロントフェンダーの後端とドア、さらにフロントフェンダーとピラー(フロントガラスを挟んだ左右の柱)など、それぞれのチリが均一でなければ、前部の外板に手を加えた(修理した)可能性が高い。判断が微妙な時は、車体の左右の同じ場所を比べてみよう。また、再塗装すると、色が微妙に違うことがある。隣り合う外板の色艶が合っているかもチェックしよう。
前部をぶつけると証拠が残る
フロントグリルの後ろにある(エンジンルームのいちばん前で車体の左右に繋がっている)ラジエターサポートと呼ぶ鉄板を観察してみよう。前部をぶつけると、ラジエターサポートを修正あるいは交換する確率が高い。歪みや手を加えた痕跡がないか、念入りにチェックしよう。周囲と色が違っていたら、交換した証拠と思っていい。左右フェンダーとの接合部も、不自然なところはないか点検しよう。
車体前部の修復を推測する
フェンダーを固定しているネジの頭の塗装に傷あるなど、工具を使ってネジを脱着した跡があれば、フェンダーを交換した可能性がある。フェンダーを交換していても事故車(修復歴車)とはいわないが、車体の前部を広範囲にわたって修理したかもしれない。交換していなければ、大きな事故を起こしていないといえる。
エンジンルーム内を観察する
中古車ショップの店頭に並んでいる車両のエンジンルーム内は、クリーニングされている場合と現状のままの場合があるが、細部を観察してみよう。車体部と左右のフェンダー、ラジエターを支えているラジエターサポートなど、各部の色を見比べながら、色の違いを探ってみる。一部だけ色合いが異なっていたり、周囲と比べて不自然にきれいな部分があれば、そこは修理した後で再塗装した可能性がある。一見きれいに見えても、部分的に不自然な箇所がポイントだ。
塗装表面に段差がある
リアフェンダー周辺の車体にダメージを受けて修理した車両には、リアドアの開口部分などに塗装作業時にマスキング(塗装スプレーが他の部分に広がらないようにするカバーを留めるために粘着テープを貼る)した跡が残っていることもある。塗装表面を指や爪で撫でるように滑らせて、引っかかるような段差があれば、補修塗装している可能性が高い。段差が直線状になっていれば間違いなくマスキングテープを貼った跡なので、板金修理あるいは傷の補修など、何らかの理由で塗装したことがわかる。車体の左右同じ場所を見比べると、判断しやすい。
給油口の蓋でもわかる
車体後部にある意外なチェックポイントが、フューエルリッド(給油口の蓋)だ。リアフェンダーを板金修理するために外すことがある。ネジを脱着した形跡がないか、点検してみよう。フューエルリッドを交換していれば、塗装表面の艶が周囲と違って見えることがある。いずれにしても、リアフェンダー周辺を修理していることが疑える。また、フューエルリッドの色を参考にして塗料を調合するために外すもある。取り外した形跡があれば、再塗装するなど、他の部分を修理したり補修していることも考えられる。
側面のダメージを推測する
車体側面のドア部分に損傷を受けると、ドア自体を交換してしまうことも多い。交換する場合は、ドアを支えている金具(ヒンジ)の固定ネジを脱着するので、ネジの状態をチェックしよう。一般にネジの頭は塗装されているので工具を使えば傷で判断できるが、無塗装のネジを使っていて分かりにくい場合は、左右ドアのネジを見比べるといいだろう。特定のドアだけネジの頭の傷が多ければ脱着したことが疑える。ただし、新車の組み立て時やドアの立て付けを調整するためにネジを回すこともあるので、ネジをを脱着した形跡があるように見えても、必ずしもドアを交換しているとはいえない。
支えている部分を見る
後部をぶつけると、リアゲートもダメージを受けやすい。修理や交換したかどうかをチェックするには、ゲートを支えている金具(ヒンジ)を見る。ネジの頭の塗装に傷があるなど、ネジを脱着した形跡がないかどうか見てみよう。ヒンジが接している周辺の鉄板が歪んでいる場合は、ダメージが大きかったと推測できる。さらに、ゲートがしっかり閉まるかどうかも目安になる。車体の後部全体が歪んでいると、リアゲートの位置が微妙にずれていることもある。また、開閉の具合もチェックしよう。リアゲートを途中で止めてみて、下がってこなければ大丈夫。開閉を補助するロッド(ダンパー)がへたっていれば、交換するしか手がない。
開口部の溶接部を見る
リアゲートを開くと、開口部は左右両側共に鉄板が横から回り込んで、溶接で固定されているのが見える。追突をはじめ、後部が変形するようなダメージを受けて修理した車両の場合は、溶接部分が均一に揃っていないし、車体の左右で状態が違っている。また、板金塗装をしていれば、周囲と色の雰囲気が違って見えることもある。疑わしい場合は、鉄板の継ぎ目に盛って隙間を埋めているシール材を爪で押してみよう。表面が硬くても内部が柔らかい(爪で押すと「プチッ」と表面が割れる)ようなら、修理して新しいシールを盛っていることがわかる。
車体の床下もチェック
床下を覗いてみよう。フレーム(車体の骨格部)をはじめ、鉄板の部分的な変形や歪み、各部支え金具の曲がりなどをチェック。マフラーなどの床下の部品類に傷や凹み、交換した形跡がないかどうかも探ってみよう。外観はきれいに修理しても、走行に影響がない見えない部分は修理や部品交換をしないことがあるので、意外なところにダメージを受けているのを発見することがある。
点検記録簿の内容と時期に注目
整備手帳などに記入された記録に目を通して、定期的に点検整備を受けてきたかどうかチェックしよう。点検整備記録簿以外にも、ガソリンスタンドやパーツショップでオイル交換などをすると、記録シールを貼ったり、カードなどを記録簿にはさむこともある。車体や車検証ケース内も探ってみよう。いずれにしても、詳細な記録が残っている車両は、走行距離が伸びていてもコンディションがよく、走行機能部分には大きな問題を抱えていないと推測できる。